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林田カイロプラクティック院
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吉田豪『サブカル・スーパースター鬱伝』


吉田豪『サブカル・スーパースター鬱伝』はリリー・フランキーや大槻ケンジらサブカル界の著名人との対談集である。一見すると華やかに見える彼らも鬱病を体験している。著者は「サブカル文系男子は四十歳を越えると鬱になる」という仮説を立てている。

鬱病など心の病気は現代日本社会で大きく問題視されている。それでも、まだまだ後進的な日本社会では「個人の頑張りで乗りきれ」的な精神論が根強い。それは鬱病患者を一層苦しめることになる。これに対して本書は鬱病を「四十代の通過儀礼」という形で普通に起こることと受け止めている。このような考え方で救われる人々は大勢存在するだろう。

鬱病からの脱却体験談も健康的である。『新世紀エヴァンゲリオン』『機動戦士ガンダムSEED』などのアニメやアイドル(モーニング娘。)、食玩にはまることで改善したという体験談が紹介される。鬱病になるとエンターテイメントを楽しむ余裕もなくなることが多いが、現実逃避でもいいのでエンターテイメントの世界に浸かることが有効である。

他にも運動、日光を浴びる、猫の世話、痩せるなど真っ当な内容が登場する。 もちろん、精神科医の診療も受けているが、抗鬱剤などの薬漬けには消極的評価を下している。「薬を飲むのがよくない」「抗鬱剤とか睡眠薬とか飲んでいると余計体調悪い」との感想が寄せられている(137頁)。さらには「鬱病患者の増大は(製薬会社の)企業戦略が絡んでいるかも」との大胆な推測もなされた(61頁)。抗鬱剤の副作用でブクブク太ってしまったという告白を目にしたことがあるため、納得できる内容である。

鬱病になることは決して悪いことではない。本書では四十代を念頭に置いているが、若年層の心の病も多い。それだけ現代日本社会で生きることは不安や葛藤が大きいことを示している。問題は安直な方法で不安や葛藤から逃れる傾向が一部に見られることである。ハーブなどの脱法ドラッグで一時的にハイになるなどである。脱法ドラッグによる死亡や後遺症など深刻な健康被害が続発している。

本書でも薬物に逃避する弱い心理状態には理解(支持ではない)を示している(186頁)。クスリという誘惑が大きい現代日本社会で、真っ当な方法で鬱と向き合った人生の先達の言葉には大きな価値がある。(林田力)