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林田カイロプラクティック院
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『北芝健のアンチエイジング道場』


本書(北芝健『北芝健のアンチエイジング道場』バジリコ、2007年)は元警視庁刑事にして作家の著者による健康を維持する秘訣をまとめた書籍である。著者は自伝的なノンフィクションやマンガ原作のようなノンフィクションを問わず、多くの作品を発表しているが、それらの大半は自らが在職した警察の話題である。それに対して本書は健康をメインテーマとしており、著者の作品群の中でも異色である。

世の中は空前の健康ブームである。何しろ貧富を問わず、老いや死は何人も免れない。健康が多くの人の関心事となることは当然である。また、現在では医療費の増大が国家財政を圧迫しつつある。故に病気になってから治療することよりも、病気を防ぎ健康維持に努めることは社会的要請でもある。この点で健康への関心の高まりは好ましい傾向である。

一方で、健康志向の高まりについて批判する立場もある。その極端な例がタバコ規制に対する禁煙ファシズム論である。そこには健康を至上の価値とすることで、不健康な活動を排斥し、社会から豊かさや多様性が奪われてしまうことを懸念する。管見は禁煙ファシズム論を支持するつもりはないが、健康を目的化する風潮に窮屈さを感じる人が少なからず存在するであろうことは理解できる。

そのような健康志向がもたらす息苦しさとは本書は無縁である。本書の「はじめに」のサブタイトルは「不健康なことを楽しむには、健康な身体が必要なのだ!」と書かれている。「不摂生をしても病気にならない生活習慣」という禁欲的な健康追求家から見れば不道徳と非難されそうな章もある。健康は人間にとって目的ではなく、生を楽しむための手段であることが本書の一貫したスタンスである。

内容的にも著者の健康法はユニークである。一般に健康志向は自然志向に結びつく。自然の素材を食し、人工的な合成物を避ける傾向にある。しかし、著者はサプリメントの効用を説く。著者自身、サプリメント代として月15万円を投資しているという。

この点についての著者の思想は、糖尿病とインシュリンについての記述で明確化されている。著者はインシュリンを最後の手段とし、食事制限や運動を主体とする糖尿病の治療法に批判的である。反対にインシュリンを活用して、時には好物を食べて楽しみながら血糖値をコントロールする治療法に好意的である(92頁)。

末尾に「本書の健康術の効果は、著者自身の身体を基準にしたもの」との注意書きがあるとおり、本書の内容が万人に効果があるとは限らない。しかし、本書の思想は健康志向の人も、一般の健康志向に疑問の持つ人にとっても考えさせられる内容である。