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林田カイロプラクティック院
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『メタボより怖い「メチャド」ってな〜に?』を読んで


本書はメタボリック症候群(Metabolic Syndrome)が産官学あげての国策として行われている事態に対する批判的検討の中で生まれたものである。メタボ以上に重大な健康への脅威があると主張する。それを著者は「メチャド」と総称する。

「メチャド」とは、「メチャ・ド・リスク」の略で、健康への「メチャ(めちゃ)・ド(どえりゃー)・リスク(危険)」という造語である。メタボをもじったもので、学術的なネーミングとはお世辞にも言えないが、言葉が問題なのではない。重要なのは考え方である。

本書は、専門的な医学上の知見を根拠に、メタボを悪玉視する国の健康政策やマスメディアの論調を真っ向から批判するものである。そのため、本来は非常に難解なものになりがちである。しかし、本書は一般向けに分かりやすく書くことを目指している。「メチャド」というネーミングも、この観点から理解したい。

本書は大きく三部構成となっており、それぞれのパートにおける主題が明確になっている。この点も、本書を理解しやすいものにしている。

メタボが問題視される理由は、肥満が生活習慣病など様々な病気の元凶と考えられるためである。しかし本書は最初のI部「「メタボは怖いって」騒がれているけれど」において、肥満そのものよりも、高血圧や高血糖のような危険要因を複合的に抱えている人が危険とする。また、メタボの要因には個人の不摂生だけでなく、労働条件(長時間労働、不規則勤務。雇用格差、職業ストレス)が大きいとも主張する。

続くII部「「健康のしくみ」を考えてみましょう」ではストレスを健康の大敵と位置付ける。健康食品など世情流布されている健康知識の誤りも指摘し、驚かされる。急激な運動が突然死を招くという心肝を寒からしめる話もあった。

最後のIII部「本当に怖いのは「メチャ・ド・リスク症候群」」においてメタボ以上に健康に重要な問題をまとめている。働き盛りの過労・ストレスが健康破壊の元と指摘した上で、「ゆとり」が重要と主張する。肉体的・精神的なゆとりに加え、生活のゆとり(収入の安定や文化的なゆとり)、生き方のゆとり(生き方の多様性を尊重)が必要で、それらを支える社会のゆとり(社会保障や支えあい、平和)が最重要とする。

著者の立場は現在の厚生行政と対照的である。著者は社会格差や労働条件のような社会的な要因を不健康の原因と捉える。これに対し、厚生行政ではメタボの原因を個々人の生活習慣、不摂生に求める傾向が強い。

個人の問題に矮小化することで、不健康を生み出す社会の問題から国民の目をそらせることができる。しかも肥満者に自助努力(生活習慣の改善、減量)を要求することで、健康産業は新たな金儲けの機会を得ることになる。本書から浮かび上がる国民不在の健康政策に恐ろしさを感じた。